水平線ログ

主にTwitterでの観劇感想ログ置き場です。ほぼ箇条書き。 ただいま抜けていた2016-2020のログを少しずつ転記中。

シネマ歌舞伎「大江戸りびんぐでっど」

  • いやあ映画館で歌舞伎を見られるっていいもんですねえ、の前に果たしてこれは歌舞伎なのか否かというのは上演当時の評でも耳に聞こえておりましたが、なにしろ歌舞伎をきちんと観たことがほとんどないのでその辺りは沈黙。初シネマ歌舞伎、楽しんで参りました。
  • 宮藤官九郎「作・演出」のクレジットで、素人なりに後者の文字の珍しさを感じたり。秘伝のくさや汁が江戸に巻き起こす存鼻(ぞんび)騒動、生きてる!死んでる!出たと思ったら死んだ!死んだけど死んでなかった!のドタバタが、次第に黒く黒く、情念とミステリが絡みつく。
  • かなり序盤から細かく伏線張りと回収が繰り返されていたのに大きなそれにさっぱり気づかず、終盤の「!」に思わず息が詰まったり。生きてるの、死んでるの。生きてるし、死んでるし。生きてえ。要所で使われる、生者の色も死者の色も同じ土気色に染め上げる照明のこわさ。
  • 黒さを敢えて茶化すような、能天気なゆるさ。この存鼻、踊るぞ! ゾンビ映画大好きだそうで全力メイクの亀蔵さんの威力たるや。脳みそ出てる脳みそ。四十郎先生(三津五郎)のキメ顔→キモ顔や、女郎お染(扇雀)のそれでも白粉をはたくいじらしさと気位が忘れられません。