イキウメ「関数ドミノ」
2014.6.7.
13:00
シアタートラム
・「ドミノ」という名の、哲学。幻想。或いは人知を超えた力。ひとつの奇妙な事故をきっかけにその存在を確認しようと「実験」する人々。エンターテインメント思考実験とでもいうのでしょうか、イキウメの「架空概念×普通の人々」な箱庭世界の興奮再び。
・"証拠"が出てくるかと思えば足元を切り崩され、と思えば再び信憑性を増す「ドミノ」。証明、という目的が示されているにも関わらずひたひた迫る不安。気づけば問題は別のものにスライドしている。きみはそれを信じるか、信じないか。現実は心の内側にあるのか、外側にあるのか。
・終演後「ドミノ幻想」でググった人!はーい!となるくらいに、この架空概念がいかにもありそうで。すこし記号的に描かれた人々と、一見リアルなようで異質な空間がまぎれる美術と、観客だけが認識する嫌な動き、そうした不自然要素が、そんな「ドミノ」を巡る世界になんともマッチ。
・いちばん刺さってしまったのは、「証明」が一段落してからの彼。彼の性格的に当然そうなると分かっていても感じてしまうやるせなさ。理解できてしまうやるせなさ。果てしないあきらめと憎しみと自己嫌悪の自家中毒。そこからの、ぶったぎられるようなラスト。苦い。
・以前の上演では展開もキャスティングもかなり異なっていたようで気になり。特にあのひねくれこじらせアグレッシヴ残念マンが安井順平にハマりすぎていて(『地下室の手記』でも思いましたがこの手のキャラがなにゆえこんなにハマるのか)、そこが違ったというだけでも驚き。
・あ、パスタシーンが不意打ちのエクストリームエロティックで妙に動揺(動揺しすぎて日本語も動揺)しかしあれもまた「しかしきみは目の前のそれをどう見るか」と受け取ることもでき。