水平線ログ

主にTwitterでの観劇感想ログ置き場です。ほぼ箇条書き。 ただいま抜けていた2016-2020のログを少しずつ転記中。

「タンゴ」

シアターコクーン
13:00

  • シアターコクーン『タンゴ』何もないなら、壊すことすらできない。青年は再生を求め、もがく。視覚的にもめちゃくちゃで戯れに満ちた前半と、ほぼ同じ物を使いながら「整然」がもたらされる後半。膨大な観念的台詞に振り回されるどころか、ばっちり伝えて笑いすら発生させるつくり。エキサイティング。
  • ムロジェックについて知識が無く、ごく最近の作品と思い込んでいた。あとで1965年執筆作と知り納得しつつ驚愕。演出の力が大きいのか、今の話と思ってもギャップを感じず。茶番、という言葉をすんなり受け取る自分自身に気付いたとき、悲しむべきか笑うべきか、もはや私には分からない。
  • カーテンコール、「演劇をみること」についての大きな問いを改めて突きつけられた気分。余談ですが、今年同劇場で上演された某作品と思わぬシンクロがあり、恐ろしいやら吹いてしまいそうになるやら。『タンゴ』の方は完全に脚本指定だそうなので特に関連もないのでしょうが、いや、びっくりした。
  • 演出の要素で無条件に気に入ってしまうもの、生演奏のほかに「存在が不確実」というのも自覚。「ある」と言った瞬間にそれがあることになったり「あったっけ?」と言うとあったかどうか分からなくなったり。神林長平的世界というか。どうりで長塚作品や演出を気に入ってしまうわけです、とこれも自覚。

(11/16 追記ツイート)

  • どことなく『タンゴ』が響いている。全くテイストは違うはずなのに、例えば『ガラスの葉』を観たあとと似た感覚。乾いた色をした、ひたひたと迫るかなしさ。不確かさへの思い。愛着、というとおかしいような気がするのだけれど。