「ろくでなし啄木」
東京芸術劇場中ホール
19:00
- 『ろくでなし啄木』遠く過ぎ去るあの一日、思い出の中のあの一夜。なのになぜだか思い返すと、どこかになにかが引っかかる。推理モノ好きは構成が分かった時点でもうワクワクしそうな。芥川の某作品を思わせるミステリアスな雰囲気に、明るい色が散りばめられ弾ける。
- 二十代後半×3、という近年の三谷作品としては異例に若いキャスト、その芝居の巧さと動けちゃう身体を思いっきり活用中。 声も体も自由自在な「ひとり大運動会」中村勘太郎、派手なようでいて緻密さを保ちつづける藤原竜也、初舞台とは思えない程かっちり押さえる吹石一恵。
- 行き来する時間。入れ替わる空間。語り手。「え、これ三谷作品?」と驚いてしまう程、いわゆる演劇的なトリックをたっぷり使ったつくり。「脚本家・三谷幸喜」と「演出家・三谷幸喜」が両方とも、今まで敢えてしてこなかったアプローチ。何食わぬ顔のアグレッシヴミタニさん。
- 中村勘太郎のふんどしの似合いっぷりは何事。「パンツ一丁」や「ふんどし一丁」といったものにつきまとうマヌケ感や哀愁を一身に背負わんばかりのふんどしっぷり。スケベさと爽やかさが何故か同居しているのもポイントです。いえあの、ふんどし以外の衣装もあります勿論。