扉座「アトムへの伝言」
紀伊國屋ホール
19:00
- 扉座『アトムへの伝言』/チラシに書かれている言葉は「SN」すなわち「サイエンス人情物」。そんな言葉に偽り皆無、がっちりサイエンス、こってり人情物。科学研究所にヒューマノイド、健康ランドに演歌に漫才、まるきり違う二つの世界を繋げるキーワードは「笑い」。
- 山中崇史と六角精児、二人が扉座に揃うのは本作の初演以来だというから6年ぶり。「この二人じゃないと成立しない」と仰る声も耳にしていたのですが、納得。軽やかで純朴なコメディアン・ヒューマノイドと落ち目のひねくれ漫才師によるコントは、劇中劇を若干はみ出す勢いで本気。
- 抱えるテーマはずしりと重く、しかしまさにその重さのために爆笑が必要不可欠、という構成。意図的に使われる差別語も含め、笑いや涙の向こうに脚本上の怜悧な計算が透ける。その計算を役者の力で暖かく包んで提供するスキルは、30年続いた劇団だからこそなのかもしれない。