「桜の園」

パルコ劇場
19:00

• パルコ『桜の園』／チェーホフの『桜の園』は何年か前に読み、哀切ながら結構笑った記憶がある（『三人姉妹』はもっと笑った）。生で観た経験なし。そんな折の三谷幸喜、そりゃ気になる。確かに笑える箇所は多い。が「よおし笑ってやるぞ」と意気込んでいくのは少し違うかも。

• 笑いは、戯曲の笑いをきっちり掬い上げた箇所あり、力任せの小ネタに流れてたところあり。後者の存在と、前者の「もっと笑いポイント押さえられそう」感が惜しくてならないけれど、それだけチェーホフの笑いが、戯曲から感ぜられるよりずっと難しいということなのだろう。

• 輝きを感じたのは、むしろ苦い悲喜劇として。転換なしの「場」に象徴的に現れるある小道具の、終幕での使われ方にぎょっとする。俳優は、市川しんぺーと藤井隆が見せ場で抜群の空間支配力。神野三鈴の悲しげな佇まいも、江幡高志の弱々しいようで一種異様な存在感も好きでした。

（後日のツイート）

• 『桜の園』のことをぼんやり考えている。あれは、立場育ち性格もろもろのまったく異なる人々の「分かり合えなさ」の喜劇なのではなかろうか、と根拠もなく思ったりする。