水平線ログ

主にTwitterでの観劇感想ログ置き場です。ほぼ箇条書き。 ただいま抜けていた2016-2020のログを少しずつ転記中。

「藪原検校」

世田谷パブリックシアター
18:30

  • 『藪原検校』/初日。であるせいか、前半のテンポが奇妙に遅く見え困惑するも、後半はさほど感じず。戯曲指定とは異なる「糸」の配置がなされた広い空間を、光なき人間たちが縦横無尽に行き来する。十人のキャストは或いは中央で或いは端で、一代記を描く「数十人」となる。
  • 野村萬斎をあまり多く見てはいないけれど、これほど自在に軽やかにやっている姿に初めて出会った気がする。役に求められる特殊な動き方話し方性格、それらに彼が本来身に付けている技能が気持ち良く嵌った印象。小日向文世が彼と対極の静けさをたたえて、しかも相通ずる凄みもあり。
  • 全体の、凄惨軽快狂乱猥雑あれやこれやが入り組んだ混沌祝祭ムードは、この座組ならもう少し濃く濃ゆく出そうな気がしないでもない。浅野和之(なぜか『ベッジ・パードン』に続いて苦行のような役です)による「道案内」やラストシーンも含め、3階で観たためか届き方が惜しかった感。
  • マハーバーラタ』を観て間もないせいか、奇妙な方向に連想が働き、宮城聰が井上ひさし作品を演出したらどうなるか、などという突拍子もない空想をした。突拍子もない。叙事。祝祭。