「しみじみ日本・乃木大将」
彩の国さいたま芸術劇場
13:30
- 『しみじみ日本・乃木大将』/しっくり来ない感覚がありつつ、具体的にどこと示すこともできず、これをそのまま記す。一つ、ずっと考えていたのは、これは本来もっと小さな空間で、もっと「豪華でない」俳優陣によって上演されるべき作品なのではないか、ということだった。
- 高い身体能力と発声を活用しまくりの吉田鋼太郎も、ヘロッと力を抜く風間杜夫もたいへん面白かったし、朝海ひかると香寿たつきのリアル宝塚パロディは可笑しかった。けれど、それらの華やかさで作品のもつ芯が見えたかというと、どうもよく分からなかったのだった。
- 乃木希典にまつわる一筋縄ではいかないあれこれを、ときに本筋を消し飛ばさんばかりに軽薄にふざけ、撹乱しつつ綴るこの戯曲自体、恐ろしく難しい。もしかしたら今回のプロダクションは、この「軽さ」をやるには重量がありすぎたのかもしれない、と、ぼんやり考えている。
- 珍しく、もやっとしたことをもやっとしたまま書いてしまった。基本的になんでも面白がる系統の人間なので、なんとも据わりが悪い。ド派手で無意味な前転やら側転やらを繰り返したあげく、セットに激しく足をぶつけて痛がっていらした吉田鋼太郎様は面白すぎました。