水平線ログ

主にTwitterでの観劇感想ログ置き場です。ほぼ箇条書き。 ただいま抜けていた2016-2020のログを少しずつ転記中。

イキウメ別館 カタルシツ「地下室の手記」

赤坂RED/THEATER
19:00

(観劇直後)

  • カタルシツ。うわあ、刺さる、刺さる。切り取り方は異なるけれど、岩井秀人の『ヒッキー・ソトニデテミターノ』とある種同じポイントを突いてくる。自意識の鎖。「ふつうに生きていく」というスキル。そして割と誰でも虚空に叫べる昨今、聞いてくれ、と男が吼える先が、ドストエフスキーと今を繋ぐ。
  • 喋りっぱなしの安井順平。客席と共に呼吸するように、あっさり間を操る安井順平。わずかな動き、かすかな表情まで見える狭い空間で彼の芝居を観る濃さ。台詞を「喋らされている」あの「安井」は、ぼそりと反逆を口にする彼は、一体誰なのだろう。

(その後)

  • 男はひとり生放送。(別に誰も聞いてなくたっていい、)誠実な俺。思慮深い俺。そんじょそこらの頭の軽い奴らとは違う俺。プライド。自意識。くたばれリア充。復讐してやる、復讐してやる(俺の高邁な精神を傷つけたやつらに)。
  • というのをこっちはヒーヒー笑いながら観ているわけです。痛い痛い、その痛さはこちらにもグサグサと刺さる痛さ。不可分の痛さと可笑しさ。「おまえら=コメント(=わたしたち)」のツッコミは、「現代を表現するために使って『みました』」をさらりと回避するそれっぽさ。
  • 約2時間、ほぼ一人で語りつづける「男」安井順平。身構えさせない、間を操っているとも思わせない操り方。虚勢が生んだ傲岸さも、それが崩れたときのどうしようもない弱さも、「男」との呼吸があるから、こそ、笑いは膨らむ。痛みが広がる。「データになりたいよ」