水平線ログ

主にTwitterでの観劇感想ログ置き場です。ほぼ箇条書き。 ただいま抜けていた2016-2020のログを少しずつ転記中。

スーパー歌舞伎II「空ヲ刻ム者」

2014.3.13

11:00

新橋演舞場

 

・はじめてのスーパー歌舞伎。観終わった直後に出てきた感想は「ずーっと時速45kmくらいで走っていたと思ったら終盤でいきなり時速100km出す芝居」。正直な話、このスタッフ・キャストで!なぜこんな勿体ないことに!な印象強く。

・脚本。置かれた状況も苦悩も、とにかく分かりやすく分かりやすく説明していくがゆえに、それのみに時間を取られてしまってメリハリも掘り下げも乏しく。前川知大作品のあの、いつの間にか大きな哲学の世界へ跳ね上がる強さが、親切な説明台詞のなだらかな山に埋もれてしまったような。

・そうは言っても、十和の志と猿之助のそれとを鮮やかに重ね合わせる流れは美しく。そして終盤の力技展開による圧巻スペクタクル特に宙乗りは問答無用で心の琴線に触れ。演舞場の空に舞い上がり、手をとりあうふたりの熱さ。惜しむらくはやはり、そこまでの長さ、そこまでとの一種の断絶。

・観た回、佐々木蔵之介が喉でも痛めた?と思うほど終始あまりに静かな芝居で(人物設定にしても起伏のなさすぎた感)、まるで釣られるかのように猿之助もまた平板で、そのことも前半〜中盤がつらかった要因やも。もう一度観る機会はないので確かめようもないのだけれど、どうにも残念。

浅野和之、特に現代劇と芝居を変えている風でもないのに謎の「あたしゃ常連ですが何か?」的フィット感。イノセントな役の福井誠治も目を惹きつけて離さなかった。チラシビジュアルが鬼のように格好良くて好きなのだけれど、ほぼあの流れの衣装で、ああ綺麗。ぶ、舞台写真ください!