キャラメルボックス「あなたがここにいればよかったのに」
2014.3.8
18:00
・恋人からプロポーズされたばかりの女性の前に現れた、未来を言い当てる不思議な男。女性をとりまく人間関係から浮かぶ、ほんとうに相手を信じることについて、互いを知ることについて、「やり直す」ことについて。
・中盤で明かされる「男」の正体が彼を一気に主役に引き上げ、舞台を彼の想いで包む。それでも実は、このファンタジックな設定はあくまで全体の為のギミックなのかもしれない。芯にあるのは、「来訪者」がかき乱す人々の一見平穏な関係性と、痛みを伴う再構築。
・筒井俊作の、いつもどこか恐縮したような佇まいと、澄んだ声。誠実を絵に描いたような役柄が似合うこと似合うこと。そして祝初主演。客演の大家仁志の、周りとほどよく調和させつつがっちりツボを押さえる立ち方の安心感。
・数年前から感じ続けていること。内容と演技スタイルとに、齟齬が出てきている気が。くっきりしたあの演技こそがキャラメルであるといえばそれまでなのだけれど、勢いや爽快感が重要なものには合っていても、例えば本作に対して、ほんとうにベストなのだろうか。