水平線ログ

主にTwitterでの観劇感想ログ置き場です。ほぼ箇条書き。 ただいま抜けていた2016-2020のログを少しずつ転記中。

SPAC「真夏の夜の夢」

静岡芸術劇場
15:00

  • 遊び続ける野田秀樹のコトバ、コトバ=新聞紙の服と銀の柱を蒼の光が包む美術、疾走感と浮遊感で舞台を締めつづける生演奏、どんなアクロバティックな動きにも対応するSPACの俳優の鍛え上げられた身体と声。宮城聡の演出は、息もつかせぬ祝祭。
  • と、そんな大仰な言葉しか出てこないのが恥ずかしい、ひたすら楽しく美しい、富士の麓の知られざる森の一夜。2011年の初演から、ずっと待っていた再演。野田秀樹の「ものがたりについてのものがたり」と宮城聡の「ものがたりかた」の出会いは、幸せだったと思う。
  • 野田秀樹自身の演出では極めて速く話されるであろう台詞が、ここではややテンポを落とした、独特の抑揚と切れ目を持った語り方をされる。この、一種の呪文のような響きになった野田秀樹のコトバの心地よさ。初演時は何よりそれが衝撃で、その演出は今回も変わらず。
  • メモ。メフィストフェレスの異様。頭を前に突き出し、猫背で、足はほとんど擦り足のよう。歩く必要などないモノが人間の歩き方をグロテスクに真似ているような、身体のパーツそれぞれが奇妙に噛み合っていない動き。はっきりと他の登場人物から線が引かれていて、魅力。
  • メモ2。彼・彼女・それ、なんといっていいか分からないけれど、大きな眼鏡をかけ背中をまるめて紙に顔をうずめるあのひとの姿に、やはり野田秀樹を思った。見当外れかもしれないけれども。