水平線ログ

主にTwitterでの観劇感想ログ置き場です。ほぼ箇条書き。 ただいま抜けていた2016-2020のログを少しずつ転記中。

多田直人案 第3回発表会 独り芝居「審判

吉祥寺シアター
14:00

  • ひとり芝居を観るときいつも、はじまって数秒後に起こる認識。「あ、これから先どこまでも舞台の上にはこの人しかいないのだ、この人ひとりとずっと向き合うのだ」という、緊張感。逃げも隠れもできない、こちらも向こうも。
  • 加藤健一のレパートリーとして名前のみ知っていた作品。そちらをいつかと思っていたら、多田直人版を先に観る巡り合わせに。後から、これが大戦中の実話を元にしていたと知る。ただ二人の生存者、その一人がもし話す事ができたら、できてしまったら、彼は何を語り、我々は彼をどう裁くのか。
  • 僅かなセット、一つの小道具。一つの身体と声。音も数カ所差し挟まれたけれど、「証言」が紡ぐ生々しさの前ではそれすら不要にも。嫌悪侮蔑同情共感、向けたくなるあらゆる感情は他ならぬヴァホフによって拒絶される。突きつけられる苦しみ。どうか判決を、わたしは何の罪を犯したのですか。
  • 前2回を見逃して、あー第3回やるんだー『審判』ってあれちょっとこれ大変なやつじゃないですか…と行ったら大変どころの騒ぎではありやせんでした。公式サイトのゆるめの文体から地続きのはずの、あの恐ろしい負荷を背負った姿に、多田直人のまさに転換点を観たのだなあ、と、今になって。