水平線ログ

主にTwitterでの観劇感想ログ置き場です。ほぼ箇条書き。 ただいま抜けていた2016-2020のログを少しずつ転記中。

RSC Live「リチャード二世」

イオンシネマ
19:00

昨年に英国ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーで上演された作品を映画館で。

  • 先ほど終了。こ、こんないいものがあと一度しか上映ないなんて…とジタバタ。予習ゼロで行ったのだけれど、あらすじ・キャストスタッフ情報の乗ったペーパーあり、また本編前に丁寧な解説・インタビューが流れるので、史劇といえど抵抗薄く。
  • ちょうど昨年、ここから直接続く『ヘンリー四世』が蜷川版で上演されていたのも幸運かも。 神に王権を授けられた、それこそが自己であり自我である男・リチャード。その彼の王冠を受けるのはしかし、「簒奪者」ボリングブルック、後のヘンリー四世。
  • とにもかくにも、テナントのリチャード。テナントのリチャード。登場し、第一声を発した瞬間、彼がもはやこの世の人間として生きて来なかった、「神の」世界のひととして己を形作ってきたことが知れてしまう。見開かれた目、甲高い声。ほとんど無表情の深い接吻。
  • 奇矯、しかし高貴、かれにボリングブルックが抱いた罪の意識は、かれに王権を授けた神と同時にかれそのものにも一種の「神殺し」の思いとして向けられたのだろうと思うような。
  • 細かい台詞回しが卑怯なおかしさのリチャード様/スーパー手袋投げ合戦/ヨーク家コント
  • リチャードとオーマールのシーンの衝撃。かなしさ。愛おしさ。あのとき、リチャードは神だったのだろうか、人だったのだろうか。あの深い深い、…の意味は。
  • ドーランの演出、リズムの良さをまず感じ。こちらが英語聞き取れないせいもあるのだろうけれど、複雑な政争シーンでも弛まない印象。抑えつつ美しい美術、映像が投影されていたのは紗幕かと思いきやまさかの鎖で、あれは生で観たら更に立体的だったのだろうと。
  • そういえば、音響がとても良かったなあ。会場のざわめき、舞台の上下左右手前奥、それぞれがリアルに聞こえる音響。海外舞台のスクリーニングでいうと他にMETライブビューイングなどあるけれど、そちらもこんな感じなのかしらん。
  • 最大の余談。カーテンコールで鬼神の速さで駆けていって瞬く間に奥から戻ってくるテナントさんに笑いました。もはや瞬間移動。
  • ジョン・オブ・ゴーント役でマイケル・ペニングトンが観られたのも嬉しく。東京グローブ座こけら落としにも招かれたマイケル・ボグダノフ演出の『薔薇戦争』でのリチャード二世。大学の恩師がこのリチャードが良かったと何度も仰っていて、忘れられなかった。