「レディエント・バーミン Radiant Vermin」
2016.7.17.
13:00
シアタートラム
・えっ、これリドリー!? と思う程、今まで観たリドリー作品とは180度違うテイスト。主演の二人を酷使しつつこちらの想像力と道徳心を荒縄でギリギリ締めつける、ハイテンション&ジェットコースター&よい子のためのお笑いブラックおとぎ話。笑いと怖さで息苦しい。
・日曜昼だからか立ち見の出る大盛況だったのだけれど、これはリピート考えてしまうかもしれない。月末まで…チャンスあるかな…。段取りをかっちり踏まえた上での瞬発力とテンションに依るところが多そうで、段取りがより定着する後半になるにつれ狂乱具合が上がりそうな。
・パンフレットにもあったけれど、これは確かに「マクベス」で。ただオリーとジルはもっと下世話で軽薄で、なんといっても善き市民。喉元過ぎて熱さを忘れつづける二人は非現実的にも思えるけれど、似たようなことは自分たちとて日々やっている。やってしまっている。きっと。
・終盤、とても演劇的な見せ方をする長いシークエンス。そこではこちらの脳もフル稼働を強いられて、そのストレスをそのまま人物のストレスにシンクロさせる仕掛け。圧巻。見せ方自体はオーソドックスとはいえなにせ速さと数が…笑いながら一杯一杯になってしまった。
・白井演出×トラムはいつも客席構造が大変なことになるので今回も構えて行ったら一歩入ってあれ? となった。最終的にこの形でないといけない理由を理解。高橋一生も吉高由里子もキムラ緑子もどんどん寄ってきて慄く。思えば客電がわりと点いていた。
・席によってはちょっとした(本当にちょっとした)おみやげが手に入るかもしれません。日付入りだよ!やったね!
・気弱なんだか図太いんだか分からない高橋一生(装備: 眼鏡)の威力たるや…。毎回、なんて細やかでしなやかな俳優なんだろうと思う。今回はコメディセンスも存分に発揮。
・上演中、流れに完全にシンクロしてしまうタイミングで地震があって、えっトラムにこんな機構が…と一瞬アホなことを考えてしまった。4DXじゃないんだから。落ち着かねば。
・「名前」の使い方にぞくりとした。オリーとジルは、いくつかの特別な事物に名前をつける。あたかも始めからそういう名だったかのように、ごく自然に。清潔でファンシーな名前たちにすっぽり覆われた途端、残虐は遠ざかり、罪はぼやける。中身は何も変わらないのに。