シネマ歌舞伎「阿弖流為〈アテルイ〉」

・シネマ歌舞伎『阿弖流為〈アテルイ〉』飛び込みで。個人的に、部分部分におそろしくツボがあった作品だったので、そのまさに部分部分をグッと掴み取ってくるシネマ歌舞伎のありがたさをしみじみと。なにをさておき田村麻呂。少年漫画のようなキレ、ケレンと生々しさとが、なにゆえ同居できるのだろう。

・ラストの対決時の田村麻呂、刀を合わせた瞬間にニッと笑っているのを映像になって初めて目撃。驚天動地の格好良さに客席から吹き飛ぶかと思いましたなんだあれ。

・超自然的な力の発揮されるシーンで、映像や声に思い切りエフェクトがかかるのは少し惜しい気がした。むしろそういった箇所こそ、「舞台」を観ているこちらの脳が積極的に補えるところじゃないだろか。単純に、超自然パワーを行使し始めた人だけ軽くぼかし処理のようになってしまうので「み、見せてください表情とか手とか！せっかく大画面アップなのに！」と自分が悔しかっただけの話でもある。

・田村麻呂の覚醒と、かの人の「なぜ私のために戦ってくれぬ」が、やはりたまらなく好きだった。劇場中を一瞬で覆いつくすような、眼力と声だった。

・規定された空間を縦横無尽に動く巨大物体に無条件で惚れてしまうので推しはアラハバキです。