水平線ログ

主にTwitterでの観劇感想ログ置き場です。ほぼ箇条書き。 ただいま抜けていた2016-2020のログを少しずつ転記中。

「ジョジョ・ラビット」

・『ジョジョ・ラビット』を観た。熱心にナチを信奉し、イマジナリーフレンドは”アドルフ”で、いよいよヒトラーユーゲントとして沢山の訓練を受ける…はずだった10歳のヨハネス。敗色の強くなりつつあるドイツの街で、彼のシンプルな世界を揺るがす客人。おとなにも、きっとこどもにも伝わる映画。

・脚本のエレガントな整い方たるや。そこに加わるテンポの良さと、情緒的なところでもどこか少し引くような乾いた感触。その手法が抉りとるものの深さ。ままならない環境の中、ヨハネスの為に”できることをする”大人たちの姿に、監督の、人への信頼や希望を見たような気がする。

・“空想”がキーワードのように様々な形で散りばめられていた。ヨハネスの友アドルフとスケッチブック。ママの見せてくれるパパ。エルサの話。ネイサンからの手紙。クレンツェンドルフ大尉の軍服。人を誤らせ、人を正し、自分を慰め、誰かを慰める、多面体をした力。想像力の産物。

・メインキャストみんな良かったけれど、個人的にはスカーレット・ヨハンソンサム・ロックウェルにやられた。あとスティーブン・マーチャント、我が幼き日のトラウマ『ロジャー・ラビット』のクリストファー・ロイドをちょっと彷彿とさせてひええ。

 

クレンツェンドルフ大尉とフィンケルもまた”そこにいられないはずの人”で。何度も繰り返される「見た目じゃ分からない」が、様々な形で響く。