水平線ログ

主にTwitterでの観劇感想ログ置き場です。ほぼ箇条書き。 ただいま抜けていた2016-2020のログを少しずつ転記中。

ハイバイ「て」(2018)

vimeoでの期間限定配信。

 

・ハイバイ『て』(2018)配信視聴。
家族という名の、状態。もう誰にもほどけなくなったぐちゃぐちゃの毛糸玉みたいになっても家族という状態はそこに存在してしまうという、呪わしいような滑稽なようなあれ。
祖母と父と母と長男と長女と長女の夫と次男と次女と前田。歌おうリバーサイドホテル。

 ・粛々と進んでいた「その日」の出来事が、あるところから倍以上の意味に膨れあがる。ひとりにとっての現実は別のひとりからはまるで違う。太郎が泣いたのは教会に着く前? 着いた後?
観た人がここまで過ごした時間は戻らない、答えらしきものはもう(不確かな)記憶の中にしかない。

 ・2年前に観て以来なんだけど、やっぱり、よしこに語るお母さんのシーンがつらくて身体を丸めてしまう。お父さんの「すごく変な空気」。つっかえつっかえ出る言葉。男の人の、あれ。巨大な、血だらけの。ひどく婉曲的なのにあまりに生々しいキツさ、圧。岩井さんはどうしてこんな台詞を書けるんだろう。

 ・ラストシーン、自分が観たときは周りに泣いてる人も笑ってる人もいた。自分は確か泣いていたような気がする。馬鹿馬鹿しくてシュールで、それでいて祈りに満ちた空間。なんの祈りかと言われると答えに窮するんだけど、あれは祈りだったと思う。