「十二夜」

シアターコクーン
13:00

• シアターコクーン『十二夜』 砂に埋もれた難破船は、思い出を抱いてねむる。どこか遠くから、音楽が聞こえる。　　前半で「？」、後半で「！」、クライマックスで「!!!」。ものがたりの息づく美術。瞬間の色、形、が一枚の絵のように、網膜に焼きつく。生演奏の音楽は、賑やかで物悲しい。

• 潤色とあるだけあって、原作とは大きく異なる流れが随所に。原作での最終場にあたるところ、現れた松たか子が「何」なのか分かった瞬間、声を上げそうになるほど驚いた。他の観客からも実際、ちいさな声がいくつか上がる。美しいシーンだった。とても。

• 分かった、といっても、それは串田和美のいう「それぞれの『十二夜』」のひとつなのだろう。人で印象的だったのは、豪放でありつつどこか白けたサー・トービー、ゼンマイ仕掛けの人形を思わせる笑い上戸のマライア。限りなく上品でどこまでもコメディエンヌ化するオリヴィアも。