水平線ログ

主にTwitterでの観劇感想ログ置き場です。ほぼ箇条書き。 ただいま抜けていた2016-2020のログを少しずつ転記中。

キャラメルボックス「無伴奏ソナタ」

東京グローブ座
19:00

  • キャラメルボックス無伴奏ソナタ』/オーソン・スコット・カードの同名SF小説の舞台化。シルヴァーバーグ、ブラッドベリ、マキャフリイ等の何本もの名作SFに敬意を表してきたこの劇団に、新たなる定番レパートリーとして加わりそうな(個人的には加えて欲しい)一本。
  • 幾つもの公演で積み重ねられてきた、劇団全体の持つ「生歌、生演奏」のスキル。ひけらかすでもなく当たり前に可能になったそれらのスキルは、物語にごく自然に調和し、大きな強みとなる。弦が鳴る。誰かが鼻歌をうたう。音楽の生まれる瞬間の、祈りにも似たプリミティブなよろこび。
  • 観客とダイレクトに結びつけるような「演劇」とは「最先端」や「前衛」と呼ばれる類のもの、とどこかで思っていた固い頭は、幕切れの出来事でコツリと叩かれた。奇抜な趣向はなくとも条件さえ整えば、舞台と客席との相互作用は、起こるべきときに正しく起こる。心地よい驚きの瞬間。
  • 客演の石橋徹郎(文学座)、厳父を思わせる恐ろしさ不気味さの中、僅かなトーンの変化で少しずつ印象を変える細やかな芝居。明朗快活な演技が基本の本劇団だが、岡内美喜子・畑中智行などはそのために却って平板になってしまった印象。「枠」から外れた芝居が覗く多田直人が印象的。