NT Live「フリーバッグ」
・下ネタ満載、と聞いてその辺りへの感性がすごく鈍い身でわかるだろうか…と身構えつつ鑑賞。
一人ぼっちのハチャメチャな”彼女”による饒舌なひとり語り。下ネタは「ネタ」というより実際のところ、”彼女”を/”彼女”が語る上で欠かせない、切実な条件だった。
・潰れそうなカフェ、別れてる彼氏、死んだ友達、正反対の姉、距離のある父、エロ動画、電車の男、常連客、モルモット。客席をどっかんどっかん沸かせる露骨でどうしようもないエピソードの断片(現地の観客のビビッドな反応たるや)が、時系列と細部が整うにつれて”彼女”の行いと感情を明かす。
・私は”彼女”のことを分からない。分かったと言ってはいけない。”彼女”を表現する大きな要素、性欲、に関する感覚が弱すぎて、好き嫌いを述べることすらできない。でもこうして”彼女”に会ったし、前にも会っているし、これからも会うだろう。名の明かされない”彼女”は、個人でありつつどこかの誰か。
・フィービー・ウォーラー=ブリッジの演技、チャーミング、エネルギッシュ、繊細。陰々滅々一本槍になりかねない脚本を自ら書き演じて笑いとエグさのコントラストを保つ技。スマホで拡大するところでしぬほど笑ってしもうた…。
アップで見られるNTLの利点が小さな劇場の濃密さと繋がっていてよかった。