「『12人の優しい日本人』を読む会 〜よう久しぶり!オンラインで繋がろうぜ〜」
2020.5.6
14:00
zoom上でのリーディングをYoutubeでライブストリーミングする形式。
実況度高めのログ。
【前説】
・近藤さん「(リハーサルで)zoomに全員入るだけで1時間かかってます」
・どんなにグダグダになっても最後までやりとげる、Show Must Go Onですよな…。
【本編(前編)】
・はーー、演じ手の巧みさでがっちりと担保される会話劇としての強度。
・全員の顔が常に映る、(精度低めで)話者のフレームが点灯するというzoom配信の特性が作品とフィットしたりズレたりする様子にまた未知の緊張感もありました。
・陪審員2号が役柄としてすごく好きで。それを、映画版でしか見たことのなかったオリジナルキャストの相島さんで、生配信で見られる嬉しさが。
・陪審員12号がときおりzoom画面前提の動きをしていて、演出なのか・戯曲を「読む」という前提とのぶつかり合い方として有効なのかという問いをはらみつつ、メタのような不思議な感触があっておもしろくて。
・「あなた」の呼びかけ先がこのzoom形式だと咄嗟に分かりづらいので今更気づいたけど、本作お互いの会話で「あなた」「きみ」以外の呼称が使われないんだな。本名はほぼ不明だし、番号で呼びかけたりもしないし。
・演出か偶然かは分からないのですが、12人の中で異分子となる陪審員2号が、12分割された画面の隅・右下端にいるところに勝手にグッときていました。
・作品が意図通りの形で「完全」に上演されることに強いこだわりのある三谷さんが、今回のどうしても実験的・不完全でなんなら演劇の定義とも異なるオンラインリーディングに許可を出したこと、とても特別かつ大きな出来事なのだろうなと思う。
【本編(後編)】
・丁寧に前編のあらすじ付き。
・接続し直しているためかさっきまでと配置が変わってる。なんとなーく後半開始時点での評決でまとまった配置になっていてちょっと面白い。
・「木の実ナナだよ」の瞬間、全画面に動揺が走った気がするんですが気のせいでしょうか。
・議論をする力が弱い、と思われた4号が、ここでなんだか分からないけど違う気がする、話し合いたい、と立ち続けるのが本当にいい。明快な論理を立てられずとも、人を説得する力がなくとも、誰しも意見があり、述べることはできる。
・そして4号や10号の慣れないゆえにうまく言葉にならない言葉を丁寧にすくいとり、自分の力で形にさせようと動く11号。
・ひとりひとり画面が消え、終わり、カーテンコールでまたひとりひとりが現れ、の流れに涙が出そうになりました。作品の形式と今回の上演の形式が美しく調和した瞬間だったと思います。
・実現に向けて動いた全ての方々に心からの感謝と拍手を。今、ここで、確かに観ました。ありがとうございました。
・ラストの顔を真っ赤にして静かに泣いている2号でどうしても泣いてしまう。最初に始めた人であり、最後に終わらねばならなかった人。
・オリジナルキャストの皆様がこれだけ揃っての上演、こういう形で初めて観ることになるとは思ってもみませんでした。吉田さん、妻鹿さん、渡部さんのはまり具合もすばらしかったです。
・あくまでリーディング形式でしたが、時々、元の設定を飛び越え本当にオンラインで話し合っているように錯覚する瞬間もあり不思議な心持ちでした。単に「作品が生配信に合う」だけでなく、オンライン上演への問いも自然と含んだ、意義ある作品選択だったように思います。
・観ている間の不思議な感覚、やはり作品自体が密室の会話劇で、zoomでの会議だとしても違和感ない部分とまったくそうでない部分が混在しているから生まれたものなんだろうな。これが場面転換や人物同士の身体的なインタラクションが頻繁に含まれるものだったら、印象はまるで違っていたはずで。
・どんな名作であろうと今放たれてそこにただ一人でも新たな観客がいるならば好き補正ノスタルジー補正を超えた威力がなきゃならんわけで、そういう意味で今日の『12人〜』オンラインリーディングは、初見の人にはどう届いたのだろう。